2021/12/19

【NeosVR Advent Calendar 2021】NeosFesta3の利用規約作成に弁護士が見た未来

この記事は、NeosVR Advent Calendar 2021の19日目です。昨日は、あきんどアキナさんの「メタバース配信ならNeosVRが本気で楽チンな話-NeosVR Advent Calendar 2021-」でした。読んでみて、僕もNeosVRで配信したいと思いました。良記事です。

今日は、NeosFesta3に携わらせていただいた弁護士が、その体験を通じて、面白かったことをお話しします。

NeosFesta3って?

2021年7月30日から、Neos VRで開かれたノンジャンルの展示会です。クリエイターの方々が様々な作品を出展されています。

ワールドはそのまま残っているので、是非足を運んでみてください。

で、お前は誰なの?

弁護士です。エンジニアやクリエイターではなく、いわゆる「スーツ野郎」に分類される人間でしょう。

NeosFesta3には、素晴らしい作品の数々が出展されていますが、私が作ったものは、ワールドでもアバターでもありません。

私が作ったもの、それは、利用規約とプライバシーポリシーです。

・利用規約(JPEN
・プライバシーポリシー(JPEN

NeosFesta3のために作られたあらゆる成果物のうち、ぶっちぎりで、最も味気なく、つまらないものを作ったのは、間違いなく私でしょう。
にもかかわらず、関係者向けのバッジまでいただけてしまいました。頭の上の「F」がそれです。ありがとうございます。

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ただし、そんな味気なく、つまらない利用規約とプライバシーポリシーの作成から、見えてくるものもありました。

普段の利用規約と何が違うの?

今回の利用規約は、普段、webサイトやwebサービスの利用規約を作る場合と比べると、以下のような配慮が必要でした。

Neosはマジで何でもできること

多くのwebサイトやwebサービスでは、基本的には、運営側が意図したようにサービスが使われるため、あり得る挙動は、事前にある程度想定可能です。

他方、Neosの場合には、ファイル自体の共有も、多くのwebサービスに比べれば、ほぼ無制限といえるほどに可能なようです。また、ブース内に隠されたギミックを仕込むこともできるため、その手当ても必要と考えられました。

すなわち、今回の利用規約は、Neosの圧倒的な自由度に応じて、手厚く運営主体をプロテクトできるものでなくてはいけませんでした。

炎上リスクや法的リスクは避けつつも、イベント出展者の文化に配慮

上記のように、炎上リスクや法的リスクから、運営主体を手厚くプロテクトする必要がある一方で、出展者の活動が窮屈になってはいけません。
NeosFesta3が「未来のクリエイターフェスティバル」であるためには、スーツ野郎の想定を超えるアイデアを、出展者が実現できるものでなくてはならないからです。

そのため、利用規約においては、禁止事項を並べるだけではなく、疑義が生じそうな点のうち「やってよい」「制限しない」と言えることについては、その旨、勇気をもって書いておくことも必要だと思いました。
また、アイデアの実現の可否に直接かかわる事項については、「利用規約のどこかに書いてある」だけでは足りず、わかりやすい位置に書いておこうと思いました。
第1条は、見慣れない規定かもしれませんが、そのような考慮の結果生まれたものでした。

チェック時の衝撃

そして、利用規約・プライバシーポリシーのドラフトは、詳細に至るまで、運営主体の皆さまと協議・チェックを行いました。
その際のチェックの様子が、まさに未来を感じさせるものでした。

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このように、ドキュメントのチェック・協議自体がNeosVR上でなされています。

チームメンバー内でのコミュニケーションは円滑に行うことができるでしょうし、ワークスペースの狭さに悩まされることもなく、高速で考えを共有することができると思います。
ちなみに、Neos VR内では空を飛べるので、どれだけ上空にドキュメントを展開しても、それで見づらくなることはありません。

会議中のホワイトボードや、web会議の画面共有から、さらに進んだ姿がここにはありました。

VRを仕事に使うために

さて、未来を感じて感動しましたが、冷静に考えると、業務に使用するためには、いくつかハードルがあると思います。いずれ克服されるものだと思っていますので、ここにあえて書いてみようと思います。

環境を準備するのが簡単ではないこと

高性能なゲーミングPCを持っている方であれば、NeosVRを使用するための環境を準備することも難しくはありません。今すぐにでもNeosVRに入ることができるでしょう。
今回は、イベントの性質上、皆すでに環境を持っていたので、この点が問題になることはなかったと思います。

しかし、業務で使うとなると、話はそう簡単ではないのも現実でしょう。
普通の会社が業務効率化のためにVRを導入すると考えると、そのような高性能なゲーミングPCを、従業員やチームメンバーの全員に支給できる会社は、かなり限られてくると思います。

入力の難しさ

チェックや協議に便利であっても、草案をドラフトする際に便利とは限りません。

私も、利用規約やプライバシーポリシーのドラフトや条項の修正に際しては、至って従来どおりのやり方でwordを使用していました。

その理由に、文字入力の難しさがあります。VRモードで入っていると、PCのキーボードは使いづらいですし、VRでの文字入力用のソフトウェアキーボードを使っても、従来どおりの速度・正確さで入力することは難しいと思います。

おわりに

このように、NeosFesta3に携わらせていただいた弁護士が、利用規約・プライバシーポリシーの作成を通じて、面白かったことについてお話させていただきました。

ドキュメントのチェック・協議自体がNeosVR上でなされているシーンは、未来を感じさせるもので、とても印象的でした。

現状、業務のためにVRを導入するには、上記のようなハードルがある会社が多いと思いますが、これらもいずれ克服されるでしょう。
その萌芽として、例えば、clusterは、いまのところNeosVRほどの自由度はないものの、スマホからも入ることができ、導入のハードルは低いです。
また、Facebook Reality Labsの研究者が、ハンドトラッキングを活用したVR向けキーボードを開発しているとのニュースもあります。

個人的には、一足早く、このような未来に接することができて感動しました。過渡期が一番面白い時期だと思いますので、これを見た方で、NeosVR未体験の方は、ぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか。

(以下、お堅くて恐縮ですが、弁護士法との兼ね合いがあるので、僕のリアル情報を掲載させてください。)
日本橋川法律事務所 弁護士 五十嵐良平
第一東京弁護士会 登録番号:56427